輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
あづまばし
問はずがたり・吾妻橋 他十六篇
永井 荷風
線上閱讀永井 荷風《問はずがたり・吾妻橋 他十六篇(あづまばし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 75,586 字 · 159 頁
墓畔の梅
ふるさとの東京には、去年の秋流寓先から帰ったその日、ほんの一夜を明したばかりなので、その後は東京の町がどうなったか、何も知るよしがない。年は変って春の来るのも近くなった。何かにつけて亜米利加に関することが胸底に往来する折からでもあろう。不図わたくしは、或年の春、麻布広尾なる光林寺の後丘に米国通訳官ヒュースケンの墳墓をたずねたことを思出した。
ヒュースケンの事蹟は今更贅するに及ぶまい。開港前下田に上陸した米国の使節タウンセント、ハリスが幕府の有司と談判するには和蘭陀語に通ずる事の必要から、和蘭陀人にしてまた米国人なるその人を伴って来た。本国には一人の母がいたと云う。ヒュースケンは後に米国の公使館が九段下から麻布善福寺の境内に移されてから、一夜芝赤羽橋外異人接遇所から馬でかえる道すがら、薪河岸で日本の刺客数人に襲われ重傷を負い、善福寺境内の公使館に入ると間もなく息を引取った。今座右に参考書を持たないから、文久年間とばかりで、歳月を明記することができない。
葬式はどういう関係からであるか、善福寺では執行せられず、さほどには遠からぬ広尾の光林寺で営まれ、その亡骸はその裏手の岡に登る墓地に埋葬せられた。