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あづまばし

問はずがたり・吾妻橋 他十六篇

永井 荷風

線上閱讀永井 荷風《問はずがたり・吾妻橋 他十六篇(あづまばし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 75,586 字 · 159 頁

青空文庫

第三場

松田 流しながら出かけよう。

鈴代 アラ。今夜からもう始めるの。

松田 善は急げさ。

ト三人つづいて次の一節を合唱しながら下手に入る。

三人 ※(歌記号、1-3-28)はなれ/″\の淋しさに

いつか迷うた恋の道……。

おでんや オイ忘れもの。会計だよ。

ト追いかけて下手に入る。

舞台暗転。

第三場

墨田区荒川町辺。艶歌師の住む汚きアパートの一室。平舞台。正面引ちがいの硝子窓。炭俵盥など置いてある。上手襖の破れた押入。下手出入口のドアー。その外廊下。上手寄りに鈴代シュミーズ一ツ、毛布をかけ夜具の上に眠っている。松田窓に腰をかけ手風琴を引き福井下手の火鉢にて物を煮ながら、唄の稽古をしている。四月頃の午後。鈴代眼を覚し暫く二人の唄をきいている。

鈴代 兄さん。もう何時。

松田 福ちゃん。何時だろう。もう三時頃じゃないか。

福井 (腕時計を見ながら)三時半だ。鈴ちゃん。今小豆が煮えるよ。お砂糖の配給があったからね。

鈴代 あら、そう。(ト起直り)わたしお湯へ行ってくるわ。

福井 お前、まだ寒けがするんだろう。お湯はよした方がいいぜ。もう一日二日我慢しなよ。

松田 お湯ばっかりじゃない。