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ぜんのけんきゅう
善の研究
西田 幾多郎
線上閱讀西田 幾多郎《善の研究(ぜんのけんきゅう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 123,777 字 · 243 頁
この外に実在というのは思惟の要求よりいでたる仮定にすぎない。已に意識現象の範囲を脱せぬ思惟の作用に、経験以上の実在を直覚する神秘的能力なきは言うまでもなく、これらの仮定は、つまり思惟が直接経験の事実を系統的に組織するために起った抽象的概念である。
凡ての独断を排除し、最も疑なき直接の知識より出立せんとする極めて批判的の考と、直接経験の事実以外に実在を仮定する考とは、どうしても両立することはできぬ。ロック、カントの如き大哲学者でもこの両主義の矛盾を免れない。余は今凡ての仮定的思想を棄てて厳密に前の主義を取ろうと思うのである。哲学史の上において見ればバークレー、フィヒテの如きはこの主義をとった人と思う。
普通には我々の意識現象というのは、物体界の中特に動物の神経系統に伴う一種の現象であると考えられている。しかし少しく反省して見ると、我々に最も直接である原始的事実は意識現象であって、物体現象ではない。我々の身体もやはり自己の意識現象の一部にすぎない。意識が身体の中にあるのではなく、身体はかえって自己の意識の中にあるのである。神経中枢の刺戟に意識現象が伴うというのは、一種の意識現象は必ず他の一種の意識現象に伴うて起るというにすぎない。