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そうせきしとわたし

回想 子規・漱石

高浜 虚子

線上閱讀高浜 虚子《回想 子規・漱石(そうせきしとわたし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 115,187 字 · 231 頁

青空文庫

文中に在る従姉とあるのがその人であった。このよりえ夫人の手紙は未亡人のその後をよく物語っている。あの家は今は上野氏の手を離れて他人の有となっているという事である。

この三十年の帰省の時、私はしばしば漱石氏を訪問して一緒に道後の温泉に行ったり、俳句を作ったりした。その頃道後の鮒屋で初めて西洋料理を食わすようになったというので、漱石氏はその頃学校の同僚で漱石氏の下にあって英語を教えている何とかいう一人の人と私とを伴って鮒屋へ行った。白い皿の上に載せられて出て来た西洋料理は黒い堅い肉であった。私はまずいと思って漸く一きれか二きれかを食ったが、漱石氏は忠実にそれを噛みこなして大概嚥下してしまった。今一人の英語の先生は関羽のような長い髯を蓄えていたが、それもその髯を動かしながら大方食ってしまった。この先生は金沢の高等学校を卒業したきりの人であるという話であったが、妙に気取ったように物を言う滑稽味のある人であった。この人はよく漱石氏の家へ出入しているようであった。この鮒屋の西洋料理を食った時に、三人はやはり道後の温泉にも這入った。着物を脱ぐ時に「赤シャツ」という言葉が漱石氏の口から漏れて両君は笑った。