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とうじょうのきじゅつし

塔上の奇術師/鉄人Q

江戸川 乱歩

線上閱讀江戸川 乱歩《塔上の奇術師/鉄人Q(とうじょうのきじゅつし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 151,766 字 · 303 頁

青空文庫

」

中井君が、ささやきごえでいいました。

さあ、たいへんです。せっかく苦心して、ここまで運んだのに、そいつが来れば、なにもかもだめになってしまいます。

「ぼくたち、どっかへ、かくれようか。」

ポケット小僧が、ささやきます。

「だめだよ、この部屋には、かくれるところなんてないよ。」

中井君が答えました。

「よし、そいつを、やっつけちゃおう。こっちは四人だ。相手は、いくら力が強くても、たったひとりだよ。それにはいいことがある。」

小林君はそういいながら、シャツの下にまきつけていた、絹糸のなわばしごを、大いそぎでひっぱりだすと、ポケットからナイフを出して、それを三つに切りました。

それから、そこにあった二つのいすを、ドアのすぐ内がわの、両方のかべぎわにおき、一本の絹糸を二つのいすのあしからあしへわたして、しばりつけました。つまり、床から十センチぐらいのところに絹糸が、はりわたされたわけです。

それを、手早くやったので、やっとまにあいました。部下のやつは、もうドアの外まできていたのです。

小林君は、残る二本の絹糸の一本を、じぶんが持ち、残る一本を、中井君にわたし、それから、みんなの持っているハンカチを出させて、それをポケット小僧にわたしました。