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よるのしんぐんらっぱ
夜の進軍らっぱ
小川 未明
線上閱讀小川 未明《夜の進軍らっぱ(よるのしんぐんらっぱ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。
N3 · 進階 · 新字新假名 · 3,733 字 · 8 頁
山の中の村です。雪の深く積もったときは、郵便もなかなかこられないようなところでした。父親一人、息子一人のさびしい暮らしをしていましたが、息子は、戦争がはじまると召集されて、遠く戦地へ出征してお国のために働いていました。
「おじいさん、息子さんのところから、たよりがあったかい。」と、顔を見ると村の人はきいてくれました。
「あ、こないだあった、達者で働いているそうだ。もう、あちらは川の水も凍ったということだ。」
「まあ、達者で、お国のために働いていてくれれば結構なことだ、神さまを拝んで、めでたく凱旋するのを待っていらっしゃい。」と、村人は、老人を元気づけたのです。
「なんの、お国へ捧げた悴だもの、それに今度の戦争は長いというから、無事に帰ってくるとは思っていないが、どうか、りっぱにやってくれればと祈っているのさ。」と、老人は答えました。
おじいさんは、口ではそういっても、夜が明けると、日が暮れるまで、息子の身の上を案じていました。そして、雪が積もって道のついていないときには、郵便が山へ上がれまいと思って、村のおけ屋まで出ていって待つこともありました。おけ屋には、学校へいく子供もあって、もし戦地の息子さんからきた手紙なら、かならずその日の中に届けてやるからというのであるが、おじいさんは、それが待てなかった。