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だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 145,722 字 · 286 頁

青空文庫

かりそめにしめあげた腕はゆるめなければならないのに、人間の肉が苦しみもがく瞬間の、はげしい運動と、熱い血潮に触れると、むらむらとして潜在の本能がわき上ります。

「苦しいか」

「く、く、苦……」

後家さんは、必死となって竜之助の腕にすがって、その蛇のような腕を振りほどこうともがいたが、それは、さいぜん予告しておいた通りに、もがけばもがくほど深く入るだけで、力を入れるそのことが、いよいよ敵に糧を与うる理法となっていることを知らない。

はっ! と落ちたか、落ちない時に、それでも竜之助は手を放しました。手を放すと、肥満した女の骸が、朽木のように、自分の足もとに倒れたことを知りました。

しかし、それは、ほんの少しの間たつと、倒れた後家さんは半眼を見開いて、

「先生、あんまり酷い」

といいました。死んだのではなかったのです。

「あんまり酷いじゃありませんか、殺さなくってもいいでしょう、お雪ちゃんに教える時にも、こんなになさったの……?」

半醒のうちに、後家さんは、竜之助に怨じかけました。地獄をのぞいていまかえった人というような見得で……

それから、やがてまた二人が相並んで、林の中をそぞろ歩きして行くのを見かけます。