輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
線上閱讀中里 介山《大菩薩峠(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 145,722 字 · 286 頁
「それを外すのは雑作もない」
といって、竜之助は再び後家さんの首を後ろから締めにかかると、
「先生、殺しちゃいけませんよ」
今度は後家さんも覚悟の前ではあるし、竜之助も心得て、以前ほど強くは締めず、ゆるやかにうしろから手を廻して、
「これをこうすれば袖車……」
「もっと強く締めて下さい」
その時、サッと木の葉をまいて、風のような大息をつきながら、そこへ馳せつけたものがありました。
「お、お、お、お、お内儀さん――」
真蒼になって、ほとんど口が利けないで、そこに踏みとどまりながら、吃っていましたから、竜之助も手をゆるめ、後家さんも向き直って見ると、それは男妾の浅吉でありました。
「お内儀さん、あぶない――」
「浅吉、お前何しに来たの?」
「え、え」
「何しに来たんですよ、たのまれもしないに――」
「でも、お内儀さん、この節は、お一人で山歩きをなさるのは、お危のうございますよ」
「子供じゃあるまいし」
後家さんは、ひどく邪慳な色をして、浅吉に当りました。
「でも、お内儀さん、私は、あなたが今、この方に殺されているのだとばかり思ったものですから……」
事実、浅吉はそう思って、その主人の急場を救わんがために駈けつけたものに相違ない。