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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
線上閱讀中里 介山《大菩薩峠(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 145,722 字 · 286 頁
駒井は一方ならぬ迷惑で、避難の場所を求めようとしたが、やはりかぎりある船中に、人と荷物でなかなかそのところがない。ひとり駒井が迷惑しているのみならず、乗合いの善良な客はみな迷惑しているのです。しかし、善良な客が進んで船内の平和を主張するには、どうも相手が悪過ぎる――船頭でさえ文句が附けられないのだから、暫く、無理を通して道理をひっこめておくより思案がないらしい。
駒井甚三郎とても、相手をきらわないというかぎりはない。見て見ないふりのできるかぎりは、立ち入りたくない。しかし、この船中で見渡したところ、かりにも士分の列につらなっている身分のものは、自分のほかにはいないらしい。万一の場合、義において自分が、船内の平和を保つ役目を引受けなければならないのか、とそれが心がかりになりました。その時分、勝負がついたと見えて、船の上はひっくりかえるほどの騒ぎです。
こういう場合の役まわりは、宇治山田の米友ならば適任かも知れないが、駒井甚三郎ではあまりに痛々しい。
それを知らないで、調子づいた遊民どもは、全船をわが物顔に熱興している。
彼等が、熱興だけならば、まだ我慢もできるが、船中の心あるものを迷惑がらせるのみならず、その善良な分子をも、この不良戯のうちへ引込まずにはおかないのが危険千万です。