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だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 254,021 字 · 495 頁

青空文庫

命から二番目のものを取られたほどに騒ぎ出しましたが、宿の者は、あんまり問題にしませんでした。

この男の胴巻では、取られたところで知れたものだと、頭から見くびってしまって、ロクロク慰めの言語さえ言わなかったものですが、当人の悄気方は非常なもので、

「旦那様、どうも済まないことを致しました、明日は早立ちと思ったものでございますから、宿の雇人衆と一緒にお帳場の傍へ寝ませてもらいましたのですが、とうとうやられてしまいました、申しわけがございません」

その謝罪の仕方も、かなり大仰でしたが、伊太夫は是非もないという思入れで、

「よしよし、金だけだろうな、ほかに盗られたものはあるまいな」

「あの鬱金木綿の胴巻だけでございます」

「そうかそうか」

身内でも軽くあしらっているので、果してその胴巻の中にいくらあったかというようなことは、てんで問題にするものもなかったのです。また、下男の財布のことですから、問題にすべきほどのことではなかったに相違ないが、そのあわてぶりと謝罪ぶりの大仰なことだけが、宿の人たちを異様に感ぜしめました。

四十八

これは申すまでもなく、がんりきの百蔵というやくざ野郎のした、行きがけの駄賃に相違ないのです。