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だいぼさつとうげ

大菩薩峠1

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠1(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 200,314 字 · 398 頁

青空文庫

「それが違います、今の亀岡屋はお前の思うているような亀岡屋ではありやせぬ、わしの家は先月の十六日の夜に盗賊が入って……」

「あの、盗賊が?」

「軍用金じゃというて家の金銀は申すに及ばず、公儀よりお預かりの大切な品までもみんな奪って行きました」

「それは、ついぞ初めて聞きました」

「それに、わしが前からの身持ち、多分の使い込みが一時に現われて、ほんにもう立つ瀬がない」

「そんなこととは少しも知りませんでした」

「亀岡屋は丸つぶれ……父母へなんともお気の毒、それに不憫なは妹のこと」

「お雪さんが……」

「あ、島原へ身を売ってしまったわい」

男はホロホロと涙をこぼします。

「まあ、お雪さんが島原へ……」

女は驚いて、

「も一度くわしく話して下さい、お雪さまはもう勤めにお出なされたか、島原は何という家で、それはお母様も御承知のことか」

「このうえ尋ねてもらうまい……ともかくそれで、わしが京へ帰れぬわけを察してたも」

男は腕を深く組んで、しゃくり上げているようです。

竜之助とは火縄の茶屋で別れて、この若い男女は参宮に行くでもないし、地蔵堂に近い宿屋の離れ座敷に、こうして打明話をし合って泣いている。