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だいぼさつとうげ

大菩薩峠1

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠1(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 200,314 字 · 398 頁

青空文庫

「はてな」

首を捻って、

「親方、目釘を外してもいいかね」

「どうか、よくお調べなすって」

七兵衛は目釘を外して、柄を取払い、その切ってある銘を調べて見ると、

「武蔵太郎安国――待てよ、こいつはおかしいぞ」

七兵衛は思う、備前物や相州物の類であらば、この辺を通る人でも差して歩くに不思議はないが、あまり知られていない武蔵太郎あたりを、この辺で差して歩く人があったとは思いがけない。

「親方、この刀を差していた人というのは、どんな風をした人だったかね」

「左様でございます、破落戸か、賭博打のような人体でもあり、口の利き方はお武家でございました、大方、浪人の食詰め者でございましょう」

七兵衛は、さっきから思い当ることがあるから、刀を見つめながら主人に問う、

「年の頃は?」

「左様、三十四五」

「面つきは?」

「月代が生えて、色が蒼白くて、眼が長く切れて」

「それだ!」

七兵衛は、その人を尋ねんとしてこれまで来たのです。

「その人はどっちへ行った」

「さあ、ちとばかり前、あちらの方へ、田原本の方へ行きました」

「田原本へ――」

七兵衛は忙しく懐中へ手を入れて、

「親方、いくらになる」