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だいぼさつとうげ

大菩薩峠10

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠10(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 285,635 字 · 558 頁

青空文庫

あなたがいなければ、わたしは助からないかもしれません――殺されてしまいましょう」

一方、お雪ちゃんが帰ってからの机竜之助は、行燈の下で暫くぼんやりとしておりました。

行燈の光なんぞは、有っても無くってもいいわけですが、それでも、有れば有るだけに、何かしらの温か味が、身に添わないという限りもありません。

暫くぼんやりとしていたが、やがて無雑作に左の手を伸ばすと、水を掻くように掻きよせたものが、かなり長い袋入りの一品であります。

この人のことだから、それは問うまでもなく、手慣れの業物と思うと案外、その黒い袋入りの一品を手にとって、クルクルと打紐を解いて取り出したのは、尋常一様の一管の尺八でありました。

極めて簡単にそれを引き出して、歌口を湿してみましたが、相応に興も乗ったと見えて、いずまいを直して、吹き出したのを聞いていると「竹調べ」です。

机竜之助は、どの程度まで尺八を堪能か知らないが、おそらく、この男が、この世における唯一の音楽の知己としては、これを措いてはありますまい。

これは父から習い覚えたものです。父は幼少の竜之助に、本曲のほかは教えませんでした。