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だいぼさつとうげ

大菩薩峠10

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠10(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 285,635 字 · 558 頁

青空文庫

文政の元、十一月

われ筑水を下らんとして舟筏をやとふ

水流箭の如く万雷ほゆ……

田山白雲が、ようやく筑水の詩をうたいはじめた途端に、向うの方で、突拍子もない声で、

どんちゃ、どちどち

どんちんかん

みょうちゃがろくすん

とうらい、みょうらい

きうす、きうす

さんでん、しんでん

こんにゃか、ぶうくぶっく

は、きくらい、きくらい

きうす……

これはもとより何の意味だかわからないが、清澄の茂太郎が近づいて来たことがわかります。

白雲の詩吟が、これで、すっかり打ちこわされてしまいました。

留守にあっては、この時分になって、ようやくマドロス氏も、多年の眠りからさめました。

醒めて、そうして、まだ醒めきらぬ酔眼をとろりとさせて、室内を見廻すと、誰もいないが、さながら自身のためにしてくれたもののように、カンカンと燭光はかがやいているし、炉炭も適当に加わって、寝ざめの具合が、いかにも快適なものですから、納まり返って、

「モッシュウ、モッシュウ」

と意味不分明なる呼び名をしてみましたが、誰も来るものがありません。

かなり時も経ったろうが、さあ今晩はどこへ寝かしてくれるのだろう。あんまり静かだ。