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だいぼさつとうげ

大菩薩峠11

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠11(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 368,567 字 · 720 頁

青空文庫

鳴海潟のあと、鳴海潟のあとと、たずねて参りましたけれども、誰もそれと教えてくれる人はありません。

鳴海という字面から、古えの文の教ゆる松風と海の音とを想像して来て見たら、松林もなければ、海もない。

人にたずねてみると、海はまだまだこれから遠いとのこと。この辺が海であったのは、遠い昔のことで、鳴海は名のみ、今は鳴らずの海だという。多分、あの小さなお寺のあるあたりが、昔の鳴海潟であったでござんしょう、だが、それは千年も昔のこと――と言われるままに、お銀様は、とあるところの小さな庵寺にまでさまよい至りました。

手のつけようもなく荒れ果てた庵寺。お銀様は堂をめぐってその額などをながめて見ました。

古雅な土佐風の絵に、古歌をかいたのがゆかしい。

読みにくいのを、お銀様は注意して読んでみる。

あはれなり

いかになるみの里なれば

又あこがれて浦つたふらむ

と読まれるのもある。

甲斐なきは

なほ人知れず逢ふことの

はるかなるみの怨みなりけり

としるされたのもある。

昔にも

ならぬなるみの里に来て

都恋しき旅寝をぞする

とうたわれたのもある。

よみ人の名の記されているのもある、いないのもあるけれども、いずれも古えの名家の歌であることは疑うべくもない。