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だいぼさつとうげ
大菩薩峠11
中里 介山
線上閱讀中里 介山《大菩薩峠11(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 368,567 字 · 720 頁
恐るべきものを恐れない七兵衛は、この犬をこそ最も恐れておりました。
今や、また、ここでこの強敵に出会した。これを外すは、木に登って避けるよりほかはないと思いました。
ところが、今日はその呼吸が少し違う。前いったように、戦意を示す吠え方でなくて、この山中、思わぬ人に出会したという驚異の吠え方であって、それのみか、一声吠えた後の犬の挙動が全然違います。
第一、あの眼の色が違います――殺気がありません、敵意がありません――無論多少の警戒はありますが、その警戒のうちに、充分和気の存することを七兵衛が見て取りました。犬が折れたのではない、こちらの疑いが晴れたのだという感じ……
こうして、犬と人とが睨み合うこと多時――その間、群犬は、林の中を縦横に飛び廻って、飛び遊びます――
この時ふと、人間の口笛の音がする――犬が出て来たのと同じ方向から、人が出て来たのを認める。極めて鈍重な若い大きな男が――これも見たような男、うむうむ、せんだってのあの沢井の水車小屋にいたあの男だ。
紛う方なく与八は、口笛を吹き吹き、ムクのあとを追うて来たものと見えます。
まもなく、すべてが、姿と形を見合って、与八がまず言葉をかけました、