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だいぼさつとうげ
大菩薩峠19
中里 介山
線上閱讀中里 介山《大菩薩峠19(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 319,771 字 · 617 頁
さては思いなしの通り、この人は机竜之助でありました。
絶えて久しい、この人の姿を逢坂山の上で見る。いつのまに健康を取戻したか、姿勢はしゃんとして、しかも、足許がきまっている。杖の力を借りないで、百里も突破する体勢になっている。眼は癒ったのだろう。その証拠に、今、紗のように透き通った笠の前半を見ると、切れの長い眼が、真珠の水底に沈んだような光を見せていた。関の明神の下で、草鞋の紐を結び直したあの手もとを見てもわかる。眼の不自由な者に、あんな手に入った扱いはできない。
街道へ出て、人なき大道をこの人は、真直ぐに京山科方面へ向って、のっしのっしと歩んで行くのです。
その足どりは甚だ軽く、腰に帯びた大小の蝋色もおだやかで、重きに煩う色はない。
行き行きて追分の札の辻まで来る。ここは朝のうち、伏見街道を行くお雪ちゃんと、両国手とをお角さんが送って来て、さらばさらばをしたところ。
「柳は緑、花は紅」の石標に腰打ちかけた机竜之助、前途を見渡すと夜色が京洛に立ちこめている。昼間に見たところでは、追分の辻から左右ともに、人家が櫛の歯のように並んでいたと覚えていたが、真夜中というものは、時代を一世紀も二世紀も逆転して見せるもので、風景もおのずからその時代の風景ではない。