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だいぼさつとうげ

大菩薩峠2

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠2(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 195,601 字 · 387 頁

青空文庫

「はい」

お豊は返事をする。

「済みません、夜更けになって」

殿貝というこの温泉村の世話役の声でありますから、

「ただいまあけますから」

あいにく誰もいなかったから、お豊が立って戸をあけると、殿貝老人が提灯をつけて入って来て、

「今晩は、どうもはや、度々お騒がせ申してお気の毒だが、お内儀さん、このお方のお宿をひとつ」

後ろを顧みて老人は、

「十津川からお越しのお武家様でござります」

お豊は愛想よく、

「はい、よろしゅうございますとも、どうぞこれへ」

「さあ、お武家様、どうぞこれへお入り下さいまして」

老人が丁寧に案内すると、

「御免」

と言って入って来たのは、太刀を横たえ、陣羽織をつけた厳めしい身ごしらえですけれども、歳はまだよほど若いように見えます。

「あの、これは藤堂様の御家中でな、どうか御粗相のないように」

「見苦しいところでございまして、それにこんな山家のことでございますから行届き兼ねまするが、どうぞごゆっくりお泊りを願いまする……お鶴や、お鶴さん」

お豊は入って来た武士のために敷物を取ってすすめながら、女中を呼び、

「お洗足を差上げ申して、それからあの、お食事を」