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だいぼさつとうげ

大菩薩峠5

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠5(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 262,120 字 · 516 頁

青空文庫

先方が、いよいよ恭謙であり、礼儀正しくあることによって、兵馬は自分で浅ましいと思いながらも、ここまで来ては退引のならぬことですから、

「お見忘れでござるか、先刻、大門にて御意得申した、あの御挨拶が承りたいために、おあとを慕うてこれまで参りました。あれはいったい、拙者に恨みあってなされたか、ただしは、お人違いでもござったか、武士の一分そのままにはなり難き故、ぜひ御返答が承りたい」

兵馬は心苦しくも、こうして性質の悪い強面を試みると、件の覆面はいよいよ神妙に、

「あれは人違いでござりまする、平に御容捨を願いまする」

こう言われて、兵馬はまたも取りつく島がありません。こっちから無礼を加えた上に、ここまでついて来て、なお執念深く喧嘩を売りかけようというのだから、もう堪忍袋が切れてよかりそうなものを、ここでも平身低頭の体で詫び入るのだから、この武士の堪忍力の強さと言おうか、意気地なしの底無しと言おうか、それに兵馬は呆れながら、

「お人違いとあらばぜひもござらぬが、御姓名が承りたい、いずれの御家中でおいでなさるか、それも承りたい」

こう言って突込むと、

「それはお許し下されたい、このままにてお見逃し下されたい」