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だいぼさつとうげ
大菩薩峠5
中里 介山
線上閱讀中里 介山《大菩薩峠5(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 262,120 字 · 516 頁
かなりの商家に至り押して救助を乞はんとて其町々に触示し、其の党に加はらざれば金米その他何品にても救助の為に出すべき旨強談に及ぶにぞ、勢ひ已を得ざるより身分に応じ夫々に物を出して施すもあり、力及ばぬ輩は余儀なく党に加はるをもて、忽ち其の党多人数に至り、軈て何町貧窮人と紙に書いたる幟をおし立て、或は車なんどを曳いて普く府下を横行なし、所々にて救助を得たる所の米麦又は甘藷の類を件の車に積み、もて帰りて便宜の明地に大釜を据ゑ白粥を焚きなどするを、貧民妻子を引連れ来りて之を争ひ食へる状は、宛然蟻の集まる如く、蠅の群がるに異ならで哀れにも浅間しかり、されば一町斯の如き挙動に及ぶを伝へ聞けば隣町忽ちこれにならひ、遂に江戸中貧民の起り立たざる場所は尠く……云々」
これによって見ると「近世紀聞」の記者は、貧窮組を蟻の集まる如く、蠅の群がるに異ならずと見たのであります。貧民といえども人間であろうのに、それを蟻や蠅と同じに見られたということは不幸であります。
けれども蟻や蠅に見立てられる貧民自身にとっては、必ずしも物好きでやったことではないらしいのであります。彼等にあっては、天下が徳川のものであろうと、薩長の手に渡ろうと、そんなことは大した心配ではありませんでした。