輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

だいぼさつとうげ

大菩薩峠5

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠5(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 262,120 字 · 516 頁

青空文庫

十九

お君もムク犬も無事にこの橋を渡りかけたように、この人影も無事に橋を渡ってここまで来ました。お君主従が行けば行く、とまればとまるのだから、たしかにそのあとを跟けて来たものと見られないではありません。

「どなた」

と言ったけれども返事がありません。お君は犬に向って、

「それごらん、お前が早く歩かないから、人が来ているじゃないか、相生町から、お前とわたしを追いかけて誰か来たんでしょう、誰でしょう、御老女様でしょうか、お松さんでしょうか、どなた」

とお君は、犬に向ってこんなことを言いました。けれども犬は答えず、やがて一声高く吠えました。

いつしか杖を捨てた黒い人影は、刀を抜いています。

言い知れぬ恐怖に襲われたお君は、そこに立ち竦んで、よろよろと倒れかかった片手を橋の欄干に持たせた途端に、

「あれ! 誰かお前の前にいる、お前を殺そうとしている、危ない!」

十九

弥勒寺橋の長屋から、机竜之助のあとを追うて出た宇治山田の米友は、そのあとを追うことにかなり苦しみました。

なぜならば、外は月の光が暗いので、たしかに目星をつけて行く当の人影は、さながら煙のように、現われたり消えたりして行くからであります。