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だいぼさつとうげ

大菩薩峠5

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠5(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 262,120 字 · 516 頁

青空文庫

わせたものだそうです。それで近頃まであの附近では、泣く児をだますのに、それ尾張様が来たといってオドかしたものだそうです。

そんなようなわけで、碓氷峠の関所、実は横川の関所は、毎日、明けの六つから暮の六つまで、人を堰いたり流したりしていましたが、これはもちろん、その時刻にしてはあまりに早過ぎることなのであります。

「さあ、やって来たぞ」

「来た、来た」

南条と五十嵐とは、例の陣場ヶ原の焚火から立ち上って、ながめたのは関所の方角ではなくて、やはり熊野の社の鎮座する峠の宿の方面でありました。

なるほど、何物かがやって来る。耳を傾けると鈴の音が聞えるようです。蹄の音もするようです。あちらの方から、馬を打たせて来るものがあることは疑うべくもありません。

まもなくそこへ現われたのは、馬子に曳かれた二頭の馬でありました。

峠を越ゆる馬は、一駄に三十六貫以上はつけられないのだから、荷物の重量としてはそんなに大したものとは思われないが、それに附添っている武士が三人あります。そうして馬の背の上に、梅鉢の紋らしいのが見えるところによって見れば、これは、やはりこの街道の神様である加州家に縁のある荷馬であることも推測られます。