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だいぼさつとうげ

大菩薩峠6

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠6(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 185,112 字 · 362 頁

青空文庫

必死になって悲鳴を揚げれば揚げるほど、神尾の残忍性に油を加えるものに過ぎません。過去世も未来世もあったものでありません。神尾はついに金剛力を出しました。その力で、わずかに取縋っていた一条の井戸縄の手が離れました。

「あれ――」

凄じい音を立てたのが、この世の別れであったかなかったか、弁信はついに井戸の底へ、生きながら投げ込まれてしまいました。

「あっ!」

これと共に絶叫して、後えにと倒れたのが神尾主膳であります。

お銀様は我を忘れて、土蔵の二階から倉の戸前まで一息に駈け下りてしまいました。

二階から駈け下りたるお銀様が、倉の重い戸前をあけるには、かなりの暇がかかりました。

ようやく、それをあけて井戸端まで来て見ると、後ろに倒れた神尾主膳は、福村の手によって頻りに介抱されています。介抱している福村は、度を失うてあわてきっているのがあまりに大仰です。

「早く、何とかしてくれ、誰でもいい、早く何とかしてくれ、大将が死んでしまう、この傷を見るがいい、始末が悪い、この傷を見るがいい」

福村は神尾を抑えたり抱えたりして、うろたえ廻っているのを、お銀様は冷笑気味で後目にかけて、弁信が投げ込まれた井戸へ近づこうとしたが、井戸の屋根の柱につるしてあった提灯の光が、あいにくに、怪我をしたという神尾の面を照らしています。