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だいぼさつとうげ

大菩薩峠6

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠6(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 185,112 字 · 362 頁

青空文庫

二

二

ちょうど、その晩のことでありました。柳橋の、とある船宿の二階で、手紙を読んでいるのは駒井甚三郎であります。

「殿様、あの、お客様が参りました」

取次いだのは、宿のおかみさんらしくあります。

「あ、待ち兼ねていた、ここへ通してもらいたい」

駒井は読んでいた手紙を巻きながら、待っていると、

「御免下さりませ」

おかみさんに案内されてそこへ面を現わしたのは、年の頃五十恰好で、しかるべき大工の棟梁といったような人柄の男でありましたが、甚三郎を見ると急に改まって、

「これはこれは駒井の殿様でござりましたか、これはお珍らしいところで、思いがけなくお目にかかりまする」

恭しくそこへ両手を突いたが、驚きのうちにも、相当の親しみがあるらしい。

「寅吉、ほんとに暫くであったな」

「いや、もう、ずいぶん思いがけないことでございました、お手紙が届いてから、どなた様かとしきりに思案を致しては参りましたが、駒井の殿様とは、夢にも存じませんことでございました」

「まあ、ともかく、こちらへ入るがよい」

「それでは、御免を蒙りまして」

寅吉と呼ばれた棟梁らしい男は、駒井の傍近く膝行り寄って、頭を下げました。