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だいぼさつとうげ
大菩薩峠6
中里 介山
線上閱讀中里 介山《大菩薩峠6(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 185,112 字 · 362 頁
そのばかばかしい人殺しを甘んじてやって来た、自分というものの馬鹿さかげんこそ底が知れない。ああ、どうして我ながらここまで本心を失うたものかと、それを思い来って無念に堪えられないで兵馬は、火のように燃え上る頭を抑えました。
こうして兵馬が燃えさかる頭を抑えている時に、どこからともなく短笛の響が起りました。眼をあげて見ると、いつしか月が東の空に出ています。
人の姿は見えないが、笛を弄ぶ風流の人は、わざと月の上らないうちに、武蔵野の外を吹きめぐろうとするものらしい。この短笛の音色が兵馬の頭燃に、一陣の涼風を送らないという限りはありません。兵馬には、その人が何の心あって、何の曲を吹いて来るのだかそれはわかりませんが、その音は柔和にして濃やかな感情を含んでいる。なだらかにして夢幻の境を辿るようである。一転すると悲壮沈痛にして、抑えがたき感慨が籠る。朦朧として春の宵の如きところから、寥々として秋の夜の月のように冴え渡って行く。
余音嫋々としてその一曲が吹き終った時に、ようやく人の足音と話の声が聞え出しました。
「下総の、小金ヶ原の、一月寺というのへ行ってごらんになると、今でもあの門前に石碑が立ってございます、わたくしには読めませんが、読んだ人の話によりますと『骨肉同胞たりと雖も、案内人無くして入ることを許さず』