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だいぼさつとうげ
大菩薩峠6
中里 介山
線上閱讀中里 介山《大菩薩峠6(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 185,112 字 · 362 頁
多少の疲労とそれから、このごろとしては久しぶりで人を斬った竜之助は、女がまだ起きているうちに、すやすやと夢に入ってしまいました。
いつしか、自分は、振りわけの荷物を揺りかたげて、東海道を上って行った時の旅の姿になっている。ところは鈴鹿峠の下あたりで、その前を一挺の早駕籠が威勢よく駈けて通る。
なんにしても、夥しい急ぎ方だと思いました。
「その駕籠はどこへ行くのだ」
尋ねてみたけれど、駕籠屋は振返っても見ません。
しかしながら、どうも見たような駕籠である。竜之助は駕籠に引添うて走りはじめました。まもなく駕籠は或る家の軒下へ立ちました。そこは、ちょっとした宿場外れの、木賃宿とも思われるほどの宿屋の軒下であります。
これも見たことのあるような行燈がかかっている。筆太に「若葉屋」と記して、側面には二行に「千客万来」と認めてあるのを明らかに読むことができるのであります。
駕籠は、その掛行燈の下に据えつけられると共に、駕籠屋共は、いずれへ行ってしまったか、影も形も見えません。
竜之助はぜひなく、その宿屋の雨戸をハタハタと叩きました。行燈は、まだまばゆいほどに点けておくのに、雨戸は、もう一寸の隙間もなく締めきって、叩いてみても、返事もありません。