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だいぼさつとうげ

大菩薩峠6

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠6(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 185,112 字 · 362 頁

青空文庫

ことに奉行であるか、与力であるか知らないが、そのお歴々が五六騎集まっている眼の前で盗まれたとすれば、いよいよ痛みが重い。

こうして鈴喜の家の内外では、槍の紛失から青くなって騒いでいる時分に、外から一つの報告がありました。

不動の境内で、見慣れない小男が、しきりに十文字の槍をおもちゃにしているということです。槍をおもちゃにしているという報告は、穏かならぬ知らせです。鈴喜の家の内外を探しあぐねた連中が、ソレと言って我れ先に飛び出しました。

これより先、槍を荷った宇治山田の米友は、どういう了見か知らないが、不動の境内の人混みの中へ取って返しました。十文字の槍は肩にしているが、不動の画像は腰にたばさんでいます。

いったい、この時分の米友の了見方というものは、米友自身にもよくわかりません。近来のことは世間にも、米友の周囲にも、あまり変兆が多いから、この短気な正直者は精神に異状と言わないまでも、多少自暴気味になっているかも知れません。槍を担ぎ出して、人目に触れない方角はいくらもあるのに、好んで人出の多い不動の境内へ取って返して、多くの人の注目に頓着せず、悠々と歩いて行くはあまりといえば非常識です。