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だいぼさつとうげ
大菩薩峠6
中里 介山
線上閱讀中里 介山《大菩薩峠6(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 185,112 字 · 362 頁
その腰から裾へ朧染のように、すすき尾花が透いてうつりました。そうしてなんらの音もなく、風の過ぎ去るようにお徳の前を通ると、二三間の距離を置いて松原さして歩んで行きます。
この時にまた提灯の光がパッとさしました。気を利かせたお徳が早くも提灯に火を入れたものか、そうでなければ、いったん、消えたと見えたのが、消えたのでなく、また燃え出したのでしょう。
提灯の光が再び松林の中へ入ったのは、久しい後のことではありませんでした。
竜之助は松林の、夜露のかからないようなところへゴロリと横になりました。いたいけな藤袴が、それに押しつぶされ、かよわい女郎花が、危なくそれを避けています。
疲れのせいか横になって、うつらうつらと眼を閉じていると、暫くして紛と鼻を撲つ酒の香りがしました。それはあまりに芳烈な清酒の香りであります。
思いがけなく眼をあいて見ると、いくらも離れないところの松の木蔭で、お徳が火を焚いていました。手頃の木の枝を三本組み合わせて、それに土瓶をつるして、下に枯葉を置いて程よく火を焚いているのは、その土瓶をあたためているのです。いつのまに用意して来たか、それとも前の日あたりにこの林へ隠してでもおいたのか、土瓶の中には黄金色の清酒が溢れるほど満ちていることは、その香りでわかります。