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だいぼさつとうげ

大菩薩峠6

中里 介山

線上閱讀中里 介山《大菩薩峠6(だいぼさつとうげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 185,112 字 · 362 頁

青空文庫

二階番頭の老爺は茶道具を整理して、炉の上に茶釜をかけながら、ちょっとばかり首をひねりました。朝湯にしても、夕湯にしても、湯屋のお客は、その縄張りと面触れが大抵きまったものであります。湯屋の主人と番頭とは、大抵そのお客の面と身分柄とをわきまえているから、たまに新顔の客が来る時は、多少の用心をします。板間かせぎは、どうしてもその新顔の客の中から出るものであるから、その用心もまた無理ではないが、今日のこの早朝の客は、全く新顔であって、全く別な意味で番頭の目を引きました。

しかしながら、僅かの間を置いて朝湯に飛び込んで来た、吉原帰りらしい二人の御定連の騒々しい梯子段の上り方で、急に二階番の老爺も興をさましてしまいました。

湯屋の二階は、一種の倶楽部でしたから、新聞の種になるほどの噂は、まずこのところでさまざまに評判されました。色里から朝帰りの若い者共は、まずこの湯屋へ立寄って、家の首尾の偵察を試みて、それから帰宅する足場としている。こうしてこの定連の朝湯客のなかには、威勢よく飛び込んで、すぐにトントンと浴槽へ降りて行く者もある。湯はそっちのけにして話し込んでしまう者もある。