輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

きせつのないまち

季節のない街

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《季節のない街(きせつのないまち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 201,379 字 · 394 頁

青空文庫

の裏口をたずねる。これは、すし屋がどこよりも早く店を閉めるからだし、そこに容れ物が預けてあるためでもあった。

「あいよ、寒いね」とおかみさんなら云う、「今日はよく出ちゃったんでね、そこにはいってるだけしか残らなかったんだよ、勘弁しとくれ」

「よう、来たな小僧」とおやじなら云う、「そこにあるから持ってゆきな、生ま物は火をとおして食うんだぜ」

子供はおじぎをし、ありがとうと云う。それ以外には口をきかない、すし定のおやじはよく、うちへ小僧に来ないかと、まんざらからかいでもなさそうな調子できくが、子供はそれに対して一度も答えたことがなかった。預けてある容れ物というのは、ニュームの古鍋を三つに重ねたもので、下から上まで針金の枠が付けてあり、重ねたまま提げられるようになっていた。その鍋の一つは汁物、一つは野菜や肉や魚、残りの一つはめしとかうどん、そばなどを入れることにしていた。もちろんそれらがいっぱいになるようなことはたまにしかないし、野菜とか肉とか、めしうどんなどが、その原形を保っていることは殆んどない、汁物と形のややわかる物とに大別できればいいほうであって、かなり経験を積まなければ、それら内容物を判別することもたやすくはなかった。