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きせつのないまち

季節のない街

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《季節のない街(きせつのないまち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 201,379 字 · 394 頁

青空文庫

は、大事業に発展していて手が出せない、大資本で吸収しようにも、あまりに発展しすぎているので、つい二の足を踏んでしまう、という種類のものなんだ」

「みていたまえばんくん、こんどはぼくも当ててみせるよ」春彦は拳で胸を叩こうとして、思い返したようにそれを中止して云った、「そしてきみにも、いよいよ活躍してもらう時期が来るだろうと思うね」

ばんくんの鼻翼がちぢまり、そしてもしも彼が犬だったとすればの話だが、尻尾を両股のあいだへ巻き込むように感じられた。これを一言で云えば、おそれをなした、というふうにみえたのだ。

土川春彦は二日ばかり、いつもより長く外出した。例の株屋街へでかけたものか、それとも新事業のために奔走しているのか、ばんくんには見当もつかなかったが、またばんくんとしては見当をつけようなどともしなかったろう。この、もっともかぼちゃらしいところの七代目は、むしろちょろが事業などをしないこと、仮に始めたとしたら失敗することを祈ったに相違ないのである。

ちょろの八丁頭脳はなにを思いついたか、彼は市電の北の終点へいって、川魚の問屋をしらべ、生きた鮒と鯉の卸し値や、その供給状態を慥かめた。