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きせつのないまち
季節のない街
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《季節のない街(きせつのないまち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 201,379 字 · 394 頁
「こっちは本気で、なかまの一人を叩っ殺すつもりでしたよ、実際に殺せたかどうかはわかりませんがね、自分では本気にそう思いつめていたんです」と小田滝三は云った、「二番めの子が生れてまのないときだし、しょうばいに気乗りがし始め、これならどうやらやっていけるって思ってたときでしたからね、その上とくいを横取りされたうえ、ばかみたように云われたんですから、こんなその日ぐらしの者にとっては、それこそ生き死にの問題なんですからね」
「六、七年まえにそんな年寄はいなかったな」と寒藤先生は云った、「そんなような年寄がいたという記憶はないな、それははなしだな」
「私もあとでそうじゃないかと思いましたよ、どうしても死にたいとか、一時間たつと頓死する毒薬とかいうんで、つい聞きとれているうちに熱がさめちゃった」
「にえ湯がぬるま湯になったというわけだ」寒藤先生は笑って云った、「そのはなしの年寄のように、小田くんも一服盛られたということだな」
「おかげでばかなまねをしずに済みましたがね」
或るとき、曾根隆助がたんばさんをたずねて来て、自分の妻が男をつくったがどうしたらいいか、と意見を求めた。