輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

きせつのないまち

季節のない街

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《季節のない街(きせつのないまち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 201,379 字 · 394 頁

青空文庫

「なんです、それは」

「べつに意味はないんだよ」老人はまた喉の奥で忍び笑いをした、「めしを食うのに、よくよくはらをきめた、というだけのことさ、あの男はいつもそんなふうなんだがね」

辰弥は聞いていたのかどうか、腕組みをして天床を見あげるかと思うと、振向いて、じっと壁をみつめたりした。

たんば老人はキセルを手焙りのふちではたき、火箸で火皿の中をほじくった。

「またあにきのやつが帰って来たんです」と辰弥は云った、「いつものとおりなんです、僕はもういやになっちまった」

たんば老人は、いちど置いたキセルを取りあげ、タバコのすい殻のはいったなにかの空き罐を引きよせたが、思い直したとみえて、また元のところへそっとキセルを置き、なんということもなく、溜息をついた。

「話してごらん」と老人は云った、「悪い物を喰べたときは、ひまし油をのんで出してしまうに限る、さっぱりするだけでも儲けものだからね」

「金を都合しろって云うんだ、帰って来ればいつもそうなんだけれど、こんどは大きいんですよ」

老人は黙ったまま、一枚板の古い将棋盤を、駒の配置の動かないように、脇のほうへそっと押しやった。