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あひるとさる
寺田寅彦随筆集 第五巻
寺田 寅彦
線上閱讀寺田 寅彦《寺田寅彦随筆集 第五巻(あひるとさる)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 194,515 字 · 389 頁
こんなことを考えてみてもやっぱり「心の窓」はいつでもできるだけ数をたくさんに、そうしてできるだけ広く明けておきたいものだと思う。
八
劇場などで座席を選ぶ場合に、一列の椅子のどちらか一方の端の席がいいという人がある。自分も実はその一人である。それは、出たい時にいつでも楽に出られるという便宜があるためである。しかしその便宜を実際に利用することはむしろまれで、多くの場合には、ただその自由の意識を享楽するだけである。
だれであったか忘れたが昔のギリシアの哲学者の一人は集会所のベンチの片端に席を占める癖があった。人がその理由を尋ねたら「せめて片側だけでも自由がほしい」と答えたそうである。昔も今もこうしたわがままなエゴイストの心理は同様だと見える。
しかし、一方ではまた、反対に両側に人がいないとさびしく物足りないという人もかなりあるようである。
群集を好む動物があり一方にはまた孤独を楽しむ動物があるかと思うと、また一方ではある時期には群集を選ぶが他の時期、特に営巣生殖の時期には群れを離れて自分だけの領地を占領割拠し、それを結婚の予備行為とした上で歌を歌って領域占領のプロパガンダを叫び、そうして花嫁を呼び迎える鳥類もある。