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ならしげざっぴつ

小出楢重随筆集

小出 楢重

線上閱讀小出 楢重《小出楢重随筆集(ならしげざっぴつ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 334,351 字 · 657 頁

青空文庫

学校や研究所は自分たちの工場と考え、お互が励み合いお互で批評し合い、賞め合い、悪口をいい合い、あるいは自分を批判し尽して以て満足していたものであった。

初めて文展が出来た時、私たちは何も知らずに暮していたが、多少大人びた者どもは、ひそかにお互の眼を掠めて作品を持って先生たちの内見を乞いに伺うものが現れたようだった。さような所業は何かしら非常な悪徳の一つとさえ見做されていて、敢えて行うものは、夜陰に乗じて、カンヴァスを風呂敷につつみ、そっと先生の門を敲くといった具合であったらしい。また学生の分際でありながら文展に絵を運ぶという事は少年が女郎買いすると同じ程度において人目を憚ったものである。あるいは、むしろ、女郎買いの方は憚らなかったともいえるが、文展出品は内密を主んじる風があった。

私などは、殊の外恥かしがり屋の故を以てか、浅草や千束町へは毎晩通っていたが、文展へ絵を出す如き行為は決してなすまじきものであると考えていた事は確かである。そしてわれわれはそれによってある気位を自分自身で感じていたものだった。先ず鞭声粛々時代といえばいえる。東洋的大和魂がまだわれわれの心の片隅に下宿していたといっていいかも知れない。