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こざくらひめものがたり
小桜姫物語
浅野 和三郎
線上閱讀浅野 和三郎《小桜姫物語(こざくらひめものがたり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 136,097 字 · 267 頁
『無論そうじゃ。が、俺と同様、人間と面会する時は人間の姿に化けて居る……。』
一度行ったことのある境地でございますから、道中の見物は一切ヌキにして、私達は一と思いに、あのものすごい竜神の湖水の辺へ出て了いました。こちらの世界では遅く歩くも、速く歩くも、すべて自分の勝手で、そこはまことに便利でございます。
と見ると、水辺の、とある巨大な巌の上には六十前後と見ゆる、一人の老人が、佇んで私達の来るのを待って居りました。服装その他大体は私の案内役のお爺さんに似たり寄ったり、ただいくらか肉附きがよく、年輩も二つ三つ若いように見えました。それが監督の竜神さんであることはここに断るまでもありますまい。
一応簡単な挨拶を済ませてから、私は早速右の監督のお爺さんに話かけました。――
『修行場の模様はいつか拝見させて戴きましたので、今日はむしろ竜神さんの生活につきて、いろいろ腑に落ちかねる点を伺いたいのでございますが……。』
『何なりと訊ねて貰います。研究の為めとあれば、俺の方でもそのつもりで、差支なき限り何も彼も打ち明けて話すことにしましょう。竜神の世界は人間界とは大分に勝手が異うから、訊く方でも成るべくまごつかぬように……。