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あきかぜとはは

尾崎士郎短篇集

尾崎 士郎

線上閱讀尾崎 士郎《尾崎士郎短篇集(あきかぜとはは)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 108,032 字 · 216 頁

青空文庫

夜、相川と古見と三人でこっそり事務室へ入り、額を擦り合すようにしてラジオのスイッチをひねった。

テニスコートで五つから十ばかりの子供たちが二十人あまり鬼ごっこをして遊んでいる(十二月十一日)。

この数日間、子供たちはみんな部屋の中へ押し込められていたのだ。それが久しぶりで夕暮れのひとときを楽しそうにとび廻っている。短いスカートの女の子や、半パンツを穿いた男の子が入り乱れて追ったり追われたりしている姿が、明るすぎる色彩の中で、ひとしお哀れを深めるのである。一方では、紙でつくった飛行機を無心に何べんとなく空に飛ばしている男の子もあった。マニラが戦乱の巷に一変するのも、もう遠いことではあるまい。

日没は早く、芝生の上には夕闇が迫ったと見る間もなく、たちまち灯かげ一つない寒々とした夜になってしまう。夕食がすむとみんな、ちりぢりに各自のテントに分れ、夜警の当番だけが闇の中に残された。深夜、警報が二回鳴り、しばらくあたりがしいんとなったと思うと、遠くからきれぎれに砲声がひびいてきた。

眼がさめると朝である。夜あけ前から降ったり、やんだりしていた雨がいよいよ本降りになった。