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ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ)
山の憶い出 上
木暮 理太郎
線上閱讀木暮 理太郎《山の憶い出 上(ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ))》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 284,014 字 · 565 頁
伊良沢岳に続く尾根に合してからは、可なり年数を経た相応に太い一丈あまりの頑強な木立の中に取り込められ、それが又意地悪く密生しているので、どうにも動きが取れない。漸くのことで四番手渓の上部に当る尾根の側面に残雪のある所まで漕ぎ付けて、すり鉢状の窪地に野営した。三日目は小沢岳の東南に在る岩峰から正南に派出した尾根の突端の隆起を目懸けて、今度は束にしたような陣竹の藪を掻き分けながら登って行くと、右側に薬研状の長い窪地が続いて内側には竹が少ない。それを登り詰めて右に小高い土堤を超えた向う側が草地になっているので、初めて解放されたような心安さを感じた。白根葵、小岩鏡、白い花の撫子、日光黄菅、白花石楠などが花盛りで、一見お花畑のようである。此処から瞰下すると幽ノ沢の全渓が雪で埋められているのが分った。若し第一日に私達のように四時間以上も空費する事がなければ、打上からカハゴッ沢までは来られるであろう。その沢は地図に幽ノ沢と記入してある沢の字の下で右から合するものである。そうすれば翌日は河伝いに遅くも午後二時か二時半には鞍部に登り着ける。大略七時間の行程と思えば間違あるまい。