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ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ)
山の憶い出 上
木暮 理太郎
線上閱讀木暮 理太郎《山の憶い出 上(ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ))》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 284,014 字 · 565 頁
三日目に蓼科山に登って其日の中に帰京しようという、例の慾張りすぎた計画であったが、二日目に雨に降られたので和田峠を踰えて帰京してしまった。
午後十一時飯田町発の汽車に乗って下諏訪駅で下車したのは、十月三十一日の午前八時を少し過ぎた頃であった。直に出発して和田峠に向う。暫く見ない中に附近の様子が大部変っているのに驚いた。殊に目立つのは落葉松の植林の多いことである。西餅屋に着いたのが十時十分。途中振り返ると木曾駒や御岳が孱顔を現している。此道から御岳の見えることは初めて気が着いた。此処から近道をしようと左手の祠の前の旧道を辿って行くと、新道が山の鼻を大曲りに迂廻しようとする角の所に出る。旧道は其処から谷の窪に沿うて、今の峠と峰一つ隔てた西の鞍部に出たと記憶して居るが、最早殆んど道の形も存して居ないから、左手の小尾根を北に向って上り始め、稍や笹の深い所を通過して和田峠に続く尾根まで登ると、意外にも小土手を中央にして二条の防火線が造られてあるのを見た。霜解の為に滑る所もあったが、笹の中を歩くよりは遥に楽である。十勝石の破片が多い。丁度十二時に最初の千七百二十米の圏を有する地点に達した。