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ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ)
山の憶い出 上
木暮 理太郎
線上閱讀木暮 理太郎《山の憶い出 上(ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ))》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 284,014 字 · 565 頁
甲武信に相違あるまいということになった。其中に北の方の雲が一度綺麗に剥げて、三宝山が全容を曝露すると南に面して屹立した巨岩の塊が目に入ったので、心が漸く落ち着いて来た。
此処から更に国師金峰と縦走する予定であったが、天候も思わしくないし、切明けの有無すら探ってない未知の地に蹈み入るの危険を慮って、今回は雁坂、甲武信間の縦走を仕遂げたので満足することとし、梓山に下山することに決めて、碌々飲みもせずに提げて来た石油缶の水を尽く彼の積み上げた石に灑いで甲武信岳の霊に手向け、四時頂上を辞して下山の途に就いた。
此道は既に南日君に記載されているから、私達は七時に十文字峠の追分に達し、八時に梓山の白木屋に草鞋を脱いだことを書いて置けば充分であろう。いや一つ忘れていた、あの途々眺めて来た美しい石楠の花は是非紹介して置かなければなるまい。
私は石楠といえば、黄花石楠、姫石楠の外は、五月淡紅色の花を開く普通の石楠を知っていただけである。然し破風山の頂上や甲武信岳の中腹以下に生えているものは、七月下旬が花盛りで、色は黄味を帯びたような白に心もち紅味がさしているかと思われる位である。