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こうせつきょうほうずえ
巷説享保図絵・つづれ烏羽玉
林 不忘
線上閱讀林 不忘《巷説享保図絵・つづれ烏羽玉(こうせつきょうほうずえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 365,120 字 · 728 頁
自分の頼みだけ頼んでしまうと古手屋津賀閑山はさっさと先に帰ったと見えて、他には誰もいない。したがって安兵衛には、何だかいっこうにわからないが、その場の出幕以外に、絶えて通しの筋趣向というものを、終了までは誰人にも明かしたことのないいつもの文次親分を知っているから、安も、
「あい、ようがすとも」
とがっくりうなずくと同時に、さては死に花の探索に思わぬ眼鼻がついたのか、あるいはあの、満願寺屋水神騒ぎの一件か、それとも、ことによったらいろはがるたの――ではあるまいか、ともう歴然と持ち前の気負いを見せて来るのだ。
それにはかまわず、銀磨きを掛けたばかりの十手を、くるくると袱紗包みにして、すっぽり懐中へのむと、そいつを上からぽんと一つたたいて、文次は先に立って浮世小路の家を出た。
一歩踏み出すと、世はまさに陽光の世界である。
お捕物の出役。なに、それほどのことでもないが、若いころの源之助そっくりないろは屋が、ふところ手の雪駄ばき、花曇りの空の下をこうぶらりと押しだしたところ、これが芝居なら、さしずめ二つ三つ大向こうから声がかかろうというもので、粋な三味がほしいような、何ともうれしいけしきである。