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こうせつきょうほうずえ
巷説享保図絵・つづれ烏羽玉
林 不忘
線上閱讀林 不忘《巷説享保図絵・つづれ烏羽玉(こうせつきょうほうずえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 365,120 字 · 728 頁
いまいましそうにいったのは猫侍。
「えっ! 逃げた※(感嘆符疑問符、1-8-78)」
丹三がとんきょうな声をあげた。
「なあに、きっとまだお庭にうろうろしていまさあ。私が行って引っつかまえて来やしょう」
「まま、待て。た、丹三、待て」
とび出そうとするところを、呼びとめた吃りの侍、ぐっと丹三の肘をとって引き寄せて、何事か低声にいい含める。
こうしてああしてと、計略でも授けているらしい。
三人寄れば文珠の智恵。
どうせろくな相談ではあるまい。
「では、あの、私が――」
丹三がうれしがって叫んだ。
「そ、そうじゃ。き、貴様、誰か四、五人連れてな」
「名案々々」
猫侍も小手を打っている。
「あい、ようがす。ちょうど部屋に場ができて、けちなのが集まっていますから、加勢を頼んで、これからすぐに追っかけましょう」
「頼むぞ」
「なあに殿様、一本路に女の足だ。世話あござんせん」
いうまも丹三、どどどどうん、と階下へおりて、ぱっと外へ出るが早いか、仲間を呼びに、庭木のむこうに灯のもれている部屋へ走った。
雲の底には月があると見えて、うっすらとした光が一面にこぼれてはいるが、それとても足もとを見定めるたしにはならない。