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こうせつきょうほうずえ
巷説享保図絵・つづれ烏羽玉
林 不忘
線上閱讀林 不忘《巷説享保図絵・つづれ烏羽玉(こうせつきょうほうずえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 365,120 字 · 728 頁
が、自分が二人の岡っ引きに尾行されているとは知らない。
三つの尾行の雁行がはじまった。
守人は銀二郎のあとを、文次と安は守人のあとをつけて、四人の黒い影が淡い月光を踏んで行く。
銀二郎は酔っていた。一高一低、調子の定まらぬ足を湯島のほうへ運んでいる。どうやら妻恋坂の饗庭の邸、あるいは影屋敷をさして行くものらしい。と、連雀町の裏通り津賀閑山の古道具屋の前へかかると、中に灯がともって大戸があいている。
安に守人をまかせて、先へやっておいて、通りすがりに何げなく店先をのぞいたいろは屋文次、思わずあっと叫んだ。
うばたま組
こころ二つにからだは一つ
津賀閑山の古道具店、おもての大戸の一枚が一尺ほど引きあけられて、赤っぽいもれ燈がぼんやり往来を照らしているんだが、通りがかりに何げなくのぞいた文次は、そのままぴったりそこへとまってしまった。
闇黒をすかしてゆく手に道を見ると、守人であろう、黒い影がすべるように進んでゆく。守人は遊佐銀二郎をつけているのだから、こっちのほうも逃がしてはならぬ。といって、閑山の家の中も――ただならぬようす。
こころ二つにからだは一つとは全くここのことだ。