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げんじゅつてんまたろう

幻術天魔太郎

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《幻術天魔太郎(げんじゅつてんまたろう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 45,616 字 · 90 頁

青空文庫

「――――」

「幕府のふれに応じ私とたたかう役目をかって出たのは、それをてがらに、旗本にとりたてられ、将軍家光にちかづいて、うらみをはらさんため……」

「――――」

「心外道人は、はやくもそれを見やぶり猫間氏にまちがいあってはならぬと、くれぐれものご注意だ。貴公をおとし穴にさそい、ここへあんないしたのはそのため、おなじ家光将軍をうらむ貴公と私が、命をかけて争うのはいわれのないこと。このうえはおたがいに意地をすてて、いっしょに行こうではないか、猫間氏」

天魔太郎は美玉のおもてをあげて、こう説きすすむのでした。

「おそれ入りました。いかにも拙者は、塙団右ヱ門の孫の塙三郎丸。猫間犬丸と名をいつわり、どんなてがらでもたてて将軍家光にちかづき、ほろびうせた豊臣家のため、また祖父団右ヱ門のため、ひと太刀うらもうとしたにそういござらぬ。が拙者の術がつたなく貴殿に負けたうえは、家来のはしにでもくわわって……」

「まった、家来などとはとんでもない、勝負は時の運だ。めあてさえおなじなら、ここで兄弟の約束をむすび、将軍家光と、それにつきまとう家来どもに、ひと泡ふかせようではないか」