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ゆうれいやしきのさつじん

幽霊屋敷の殺人

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《幽霊屋敷の殺人(ゆうれいやしきのさつじん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 9,339 字 · 19 頁

青空文庫

身をかわすひまもない。

「あっ※ やられた※(感嘆符二つ、1-8-75)」と悲鳴をあげて、二三歩よろめいたが、どしんと倒れて、しっかり額を押えたまま、龍介は苦しそうに唸り出した。

「水を……誰か来て……ああ僕は死にそうだ」白い幽霊は、再びすっとどこかへ消えてしまった。あとには龍介の苦しげな喘ぎが聞えるばかりだった。

ぶきみな、しーんとした沈黙がつづいた。十分ほど経った。龍介の呻き声も絶えてしまった。

「さて、いよいよ己様の福の神が拝めるわけか!」

奇怪や、松川理学士がそう呟くと、龍介には眼もくれず、略図にある書斎の北東隅の柱へ進みよった。そして床板を剥ぐために、まず敷物を捲り上げた。そして懐中電灯で板の継目を探そうとすると、そこに一枚の紙が置いてあるのを見つけた。

「おや?」理学士はそういって、その紙を拾いあげると、それには顫えた字でこう書いてあった。

「捨三よ、よく来た、私は待っていた。私はお前に殺されたが、私もお前を地獄に引入れてやる……うしろをご覧。松川源太」

それは殺害された松川博士からきた手紙だ、死んだ者からきた手紙、――ぞっとした理学士、「…………」