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ふくいんさつじんじけん

復員殺人事件

坂口 安吾

線上閱讀坂口 安吾《復員殺人事件(ふくいんさつじんじけん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 96,621 字 · 195 頁

青空文庫

「ハア、四五分はすぎたかも知れません。兄さんはグウグウねてましたから、起さなければならなかったのです」

「久七は夜釣をやめたのかい」

「ナニ、禁止令がでやがったからさ。会社の連中、気が小さいから、気を廻しているのだよ」

「重吉は珍しく家にいたな」

「アッハッハ。フグの日は、マコで一パイやるのがタノシミでね。存分に珍味をくらい、存分のみ、適度にしびれて、たちまち、ねむる。私はあんたのくる二三分前まで、ねていたよ」

「よし、分った。食堂と台所は一切動かさないように、見張りを立てる。それから、皆さんは、暫時一室に、どこがいゝかな、安彦さんの部屋に集合していただきましょう。ちょッと一応の調べがすむまで、我慢して下さい。それでは美津子さん、あなただけ、こちらへいらして下さい。ちょッと食事中の状況をおききするだけです」

一同は例の広間を再び捜査本部に仕立てゝ、美津子に問いはじめた。

「食事中に変ったことがありましたか」

「いつもと同じようでした」

「定夫君はオサシミだけ食べて、チリは食べなかったと仰有いましたね。なぜでしょうか」

「スキヤキ以外、鍋類は好かないのです。とても猫舌のせいでしょうか、お酒なども、日本酒はのみません。