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ふくいんさつじんじけん

復員殺人事件

坂口 安吾

線上閱讀坂口 安吾《復員殺人事件(ふくいんさつじんじけん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 96,621 字 · 195 頁

青空文庫

すると、あなた、宿六の奴メ、バカ云うな、オレは大きな荷物があるんだと云って、電信柱のような大きな材木を足下から担ぎやがったんです。それを道バタへおいて一服して、立小便してやがったんですよ」

「それは何時ごろだね」

「何時だか知りませんが、もうマックラでしたよ。けれども私は懐中電燈を持って出ましたから、人の顔を見わけることができます」

「イヤに要心がいゝな」

「バカにしちゃ、いけませんよ。こんな山奥に住んでりゃ、懐中電燈なしに夜歩きはできませんよ。みんな懐中電燈を持って歩きます」

「ほかに誰かに会わなかったか」

「陸橋をわたって、野球場の方へくると、左の道から、誰かゞくるようでしたが、私たちの物音にかくれたようでした。人殺しがあったと知ってりゃ、追っかけてって懐中電燈つきつけてやるんでしたが、残念なことをしましたよ。そいつが犯人にきまっています」

「左の方の道というと?」

「閑院宮別邸裏を通って、つまり公一さんの殺されたところを通ってくる道ですよ。その男はそっちの方から歩いてきました」

「どうして隠れたのが分ったね」

「あの角に人家があって、灯がもれていましたから、隠れた姿がチラと見えたんですよ。