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しそうとふうぞく
思想と風俗
戸坂 潤
線上閱讀戸坂 潤《思想と風俗(しそうとふうぞく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 216,700 字 · 422 頁
モラルという言葉で文芸意識や評論が運ばれるようになったのも、実は、単に文芸作品そのものがモラルの分量を殖やしたとかそれを意識的にやり出したとかいう理由からではなくて、文芸意識が全体として(ブルジョア文学さえも)その評論的な触手(アンテナ)をば延ばし始めたということに原因しているのである。文芸が評論的触手を延ばせば、モラルの観念は当然第一級の問題とならねばならぬからだ。
そしてブルジョア文学(プロレタリア的文学に就いては勿論)のこの評論的触手――文学の思想性とか社会性とか論理とか――を或る意味で用意したものは、正に曾ての「プロレタリア文学」とその或る意味での転向又転向化とであった。プロレタリア文学の転向(?)によって却てブルジョア文学も亦初めて自分側の思想性・社会性・論理性を誘発された。之が所謂「モラル」の声である。
だから云わば、このモラルの声の裏に、「プロレタリア文学」とブルジョア文学とが、一応共通な掛声を聞いたのである。だからこそ例えば「文学界」式又「独立作家クラブ」(自由主義作家加入説派をとるとして)式な、混淆の形態も、そこに生じ得たわけである。