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おんがくどけい

性に眼覚める頃

室生 犀星

線上閱讀室生 犀星《性に眼覚める頃(おんがくどけい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 10,495 字 · 22 頁

青空文庫

また或る日に、真赤な肉じゅばんの、青いバンドの入った優しい悪鬼のような姿で、はれイ! と掛声をした彼女を見た。足のさきまで、秋の日照りに冴えた唐辛の莢のように鋭く、かっと、輝き出し、彫り込んだように際立ち、そして瞬間のうちに散ってしまった。ただ何のことはない、紅い線からなる滑らかな優しい悪鬼は、微塵のような羽虫のように目にくッついて離れなかった。再た或る晩のマテニは、純白のしなやかな光る服で、そのすこし紅みを濁らせた悲しげな表情で、わたしの目の前にあらわれた。ブランコから下り立ったときの女のあまいろの髪がそそけ、呼吸切れをしながら、いくらか隠々したれいの悲しげな表情で、すこしずつ後退さりながら、楽隊の下の重い粗末なカーテンの陰へかくれてゆくとき、わたしはそれが晩であるためか、残りおしいさもしい心になるのを感じた。白い夢のように純白な姿は、まだ空間をすべり歩いているようで、わたしは何度も人家の暗い屋後を瞻入ったほどだった。――わけても晩は、電燈のあかりの中にさらされた身体が、芸人でありながらも余りにあざやかで、あまりに惨いものの美しさを剥き立てていた。