輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

あやしのやかた

怪しの館 短編

国枝 史郎

線上閱讀国枝 史郎《怪しの館 短編(あやしのやかた)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 81,915 字 · 165 頁

青空文庫

夜はしんしんと更けて来た。何となく物凄く思われるかして主馬を初め集まっている者は、次第に言葉数が少くなった。とその時表戸をトントントントンと叩く音がする。ハッと皆は眼を見合わせむっと一時に呼吸を呑んだ。

それでもさすがは武士だけに主馬は躊躇もせず立ち上がり、がちりと閂を取り外した。まず細い手があらわれる。それから半身が浮き出して来る。泳ぐような歩き方ではいって来るとその老武士は云うのであった。

「弓弦を一筋……」と消えるような声で、

「ヘーイ」

と忠蔵は顫えながら云った。

「小中黒の征矢三筋……」

「ヘーイ」

と忠蔵はまた応じた。

くるりと老武士は方向を変えると吸われるように潜戸の隙から戸外の夜の闇にまぎれ込んだ。

「方々」と主馬は声をかけた。どうやらその声には生気がない。それでも自身真っ先に立って同じ潜戸から戸外へ出た。首うな垂れた老武士は星月夜の道をスースーと三間ばかり彼方を歩いている。主馬と朋輩と三人の武士は穿いている雪駄の音さえ忍ばせ着かず離れず慕い寄った。

ものの半町も行った頃、その老武士は右へ曲がった。で三人も右へ曲がった。右へ曲がってまた半町老武士はスースーと歩いたが、そこでピタリと足を止めた。